STR-LAB

2D骨組解析ツール — 使用説明書

kozo.info 構造設計ツールシリーズ  |  バージョン 1.2 / 2026年7月

1. 概要

STR-LAB 2D骨組み解析ツールは、平面骨組み構造(ラーメン・トラス・連続梁など)を ブラウザ上で入力・解析・可視化できる構造設計支援ツールです。 サーバーへの通信は不要で、すべての計算がブラウザ内で完結します。

機能内容
解析手法2D直接剛性法(線形弾性解析)
接合条件剛接合・ピン接合の混在対応
荷重種別節点荷重 / 5種類の部材荷重型 × 4方向 / 強制変位
出力図構造モデル図・変形図・N図・Q図・M図(梁中央値表示)
サンプル1〜5層・1〜3スパンのプリセットモデルを選択して即解析
解析設定単位系(N/kN・mm/cm)の選択、軸変形の考慮/無視の切替(⚙設定)
データ保存localStorage 自動保存 + JSON エクスポート/インポート
動作環境Chrome・Firefox・Edge・Safari 最新版

2. 画面構成

┌──────────────────────────────────────────────────────────────┐
│  ヘッダー(STR-LAB 2D骨組解析ツール) [📖使い方][∑計算方法] │
├──────────────────────────────────────────────────────────────┤
│  サイトナビ(免震シミュレータ / ハイパー鋼材表 / 骨組解析) │
├──────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ [解析実行][リセット] ステータス [サンプル▼][読込][保存][⚙設定]│
├──────────────────┬───────────────────────────────────────────┤
│                  │  描画パネル                               │
│  入力パネル      │  [構造モデル] [変形図*] [断面力図*]       │
│  (左列)          │  ┌─────────────────────────────────────┐  │
│  [節点]          │  │                                     │  │
│  [材料]          │  │   Canvas 描画エリア                 │  │
│  [断面]          │  │                                     │  │
│  [部材]          │  └─────────────────────────────────────┘  │
│  ─────────       ├───────────────────────────────────────────┤
│  [節点荷重]      │  解析結果パネル  [文字サイズ: 小 中 大]   │
│  [部材荷重]      │  (節点変位 / 反力 / 部材端部力)         │
│  [強制変位]      │                                           │
└──────────────────┴───────────────────────────────────────────┘
* 解析未実行時はグレーアウト

3. 操作の流れ

節点を入力
材料・断面を入力
部材を入力
荷重を入力
解析実行
M図へ自動切替
結果を確認
入力データは変更のたびに localStorage に自動保存 されます。 ページを再読み込みしても入力内容は保持されます。
解析実行ボタンは完了時に一瞬「✓ 解析完了」(緑)に変わり、ツールバーにステータスが表示されます。

サンプルモデル

ツールバーの「サンプルを選択」ドロップダウンからプリセットモデルを即座に読み込めます。

選択肢内容
1層1スパン柱2本・梁1本の基本門型ラーメン
2層1スパン2層・1スパンの多層ラーメン
5層1スパン5層・1スパンの多層ラーメン
2層2スパン2層・2スパンのラーメン
3層3スパン3層・3スパンの大型ラーメン
階高 3000mm・スパン 6000mm・鋼材(E=205000 N/mm²)。各梁に台形分布荷重(型5、w=−5 N/mm、ランプ長 1500mm)が初期設定済みです。

4. 入力データの説明

本章の単位表記は既定の N・mm 系で記載しています。 解析設定で kN・cm 系を選択した場合は、入力欄のヘッダー表示に従って読み替えてください。

4.1 節点

節点の座標と境界条件(支点条件)を定義します。

内容
ID節点を識別する名前(例: N1, N2 …)
xX座標(mm推奨)
yY座標(mm推奨)。上方向が正
dx☑ でX方向を拘束
dy☑ でY方向を拘束
rz☑ でZ軸まわり回転を拘束

支点の種類と設定

支点種別dxdyrz
ピン支点
ローラー支点(Y固定)
ローラー支点(X固定)
固定端
自由端
注意: 構造が安定するよう、必ず3自由度以上を拘束してください。拘束が不足すると「特異または不安定な構造系です」エラーになります。

4.2 材料

内容
ID材料を識別する名前(例: M1)
Eヤング率 [N/mm²]

代表的なヤング率

材料E [N/mm²]
構造用鋼205,000
アルミ合金70,000
コンクリート(Fc21)約 21,000
木材(スギ等)7,000〜9,000

4.3 断面

内容
ID断面を識別する名前(例: S1)
A断面積 [mm²]
I断面2次モーメント [mm⁴](曲げ剛性 EI に使用)
詳細な断面値は ハイパー鋼材表 を参照してください。

4.4 部材

内容
ID部材を識別する名前(例: B1)
i節点部材の始端(i端)節点ID
j節点部材の終端(j端)節点ID
材料使用する材料ID
断面使用する断面ID
i端☑ = 剛接合 / □ = ピン接合(回転自由)
j端☑ = 剛接合 / □ = ピン接合(回転自由)

接合条件の使い分け

i端j端用途
☑ 剛接☑ 剛接ラーメン構造の標準。モーメントが伝達される
☑ 剛接□ ピン梁端ピン接合(j端でモーメントゼロ)
□ ピン☑ 剛接梁端ピン接合(i端でモーメントゼロ)
□ ピン□ ピントラス部材(軸力のみ、モーメントはゼロ)

4.5 節点荷重

内容
節点荷重を作用させる節点ID
PxX方向集中力 [N](右向き正)
PyY方向集中力 [N](上向き正)
Mz集中モーメント [N·mm](反時計まわり正)

4.6 部材荷重

部材に沿って分布する荷重を定義します。
部材荷重タブを開くと、全5型の図とパラメータ説明が一覧表示されます。各画像をクリックすると拡大表示できます。

荷重方向

方向説明
1 ローカルY部材軸に直角な方向(通常の横荷重)
2 ローカルX部材軸に平行な方向(軸方向分布荷重)
3 グローバルY鉛直方向(重力・積雪荷重など)
4 グローバルX水平方向(風圧荷重など)
傾斜部材に鉛直荷重を載せる場合は方向3を使用してください。
方向1はローカル座標(部材軸に直角)なので、傾いた部材では重力方向と一致しません。
下向き(重力方向)荷重は p1 に負の値を入力してください(Y上向き正の座標系のため)。

荷重型の形状とパラメータ

型1: 集中荷重
型1
p1荷重 P [N]
p2i端からの距離 a [mm]
p3, p4使用しない

部材上の任意点への集中荷重(節点荷重と異なり部材内の点に作用)

型2: 三角形分布(両端ゼロ・任意位置ピーク)
型2
p1頂部 w [N/mm]
p2頂点位置 a [mm](0=中央、型4と同形)
p3, p4使用しない

i端・j端ともゼロ、a位置でwの三角形分布。p2=0で中央ピーク(型4と同形)

型3: 台形分布
型3
p1i端 w [N/mm]
p2j端 w [N/mm]
p3i端オフセット p3 [mm]
p4j端オフセット p4 [mm]

p1=p2 とすれば等分布荷重。p3=p4=0 で全長に作用

型4: 山形三角形(中央ピーク)
型4
p1頂部強度 w [N/mm]
p2〜p4使用しない

中央で最大、両端で0の二等辺三角形分布。型2でp2=0(中央)とした場合と同形

型5: 台形+両端ランプ
型5
p1頂部強度 w [N/mm]
p2両端ランプ長 [mm]
p3, p4使用しない

中央部は一定 w、両端で p2 の長さをかけて直線的に0へ

型6(片坂昇り)・型7(片坂降り)は現在の UI 選択肢には含まれていません(内部コードは保持)。

4.7 強制変位

拘束された自由度に強制的に変位を与えます。支点沈下・強制回転などに使用します。

内容
節点強制変位を与える節点ID
δxX方向強制変位 [mm]
δyY方向強制変位 [mm](沈下は負の値)
θzZ軸まわり強制回転 [rad]
重要: 強制変位を有効にするには、対応する方向が節点テーブルで拘束(☑)されていることが必要です。
例: 支点沈下 δy=−2mm → 対象節点の dy=☑ かつ強制変位 δy=−2 を入力。
例: 強制回転 θz=0.2rad → 対象節点の rz=☑ かつ強制変位 θz=0.2 を入力。
自由節点(拘束なし)に指定した値は無視されます。
解析理論: 分配法(partition method)を使用。規定変位 Uc に対して Kff · Uf = Ff − Kfc · Uc を解くため、指定値が変位・反力・断面力に正確に反映されます。

5. 描画パネル

構造モデル図

表示要素色・形状
節点青丸(中央に番号)
部材黒線(中央に部材ID)
ピン接合部材端部に白丸記号
固定端支点黒のハッチングブロック
ピン支点三角形(赤)
ローラー支点三角形(緑)
節点荷重青矢印
部材荷重複数の青矢印+破線エンベロープ
反力(解析後)赤矢印
座標軸左下隅にX・Y方向を表示
寸法線モデルの水平・垂直寸法を画面端に薄く表示

変形図

解析後の変形した形状を表示します。元形状は薄く表示されます。変形は Bezier 曲線で補間(Euler-Bernoulli 梁理論)。

表示内容説明
左上ラベル節点変位 max=○○ [mm](全節点のうち最大の変位大きさ)
最大変位マーカー最大変位の節点(複数対応)にオレンジリングと変位値を表示
梁中央変位傾斜角45°以下の部材の Bezier 中点変位を δ=○○ として図中に表示
左下ラベル変形倍率 ×n。拡大・縮小ボタンで2倍・1/2倍変更可

断面力図

M図・Q図・N図を切り替えて表示します。正負で色分けされます。

表示内容説明
端部ラベルi端・j端の断面力値を数値表示
梁中央MラベルM図のみ:傾斜角45°以下の部材の中央モーメント値を図中に数値表示
左上ラベルM図 max=○○ [N·mm] / Q図 max=○○ [N] / N図 max=○○ [N]
注意: 変形図・断面力図タブは解析未実行時はグレーアウトされクリックできません。「解析実行」後に有効になります。

6. 解析結果の見方

解析実行後、右下の結果パネルに表示されます。ヘッダー右端の 「文字サイズ:小 中 大」 ボタンで文字サイズを変更できます(設定はブラウザに保存されます)。

節点変位

内容
節点節点ID
δx [mm]X方向変位
δy [mm]Y方向変位
θz [rad]Z軸まわり回転角

反力

内容
節点支点節点ID
Rx [N]X方向反力(右向き正)
Ry [N]Y方向反力(上向き正)
Rm [N·mm]モーメント反力(CCW正)
検算: ΣFx = 0、ΣFy = 0、ΣM = 0 が成立することを確認してください。

部材端部力

内容
部材部材ID
i端(始端)または j端(終端)
N [N]軸力(引張正)
Q [N]せん断力
M [N·mm]曲げモーメント(CCW正)

7. データ保存と読み込み

機能説明
自動保存変更のたびに localStorage へ保存。ページを閉じても復元される
入力データ保存モデルデータを strlab_model.json としてダウンロード(ツールバー右端)
入力データ読込以前保存したJSONファイルを読み込んで復元、自動的に再解析(ツールバー右端)
リセットデフォルトの門型ラーメンモデルに戻す(確認ダイアログあり)
注意: ブラウザの「閲覧データを消去」を行うと localStorage のデータが失われます。大切なデータは JSON エクスポートで保存してください。

8. 解析設定(単位系・軸変形)

ツールバー右端の 「⚙ 設定」 ボタンで解析設定ダイアログを開きます。 現在の設定はボタン左側に「単位: N・mm / 軸変形: 考慮する」のように常時表示されます (この表示をクリックしてもダイアログが開きます)。

設定項目選択肢説明
力の単位N / kN入力値・結果表示の力の単位
長さの単位mm / cm入力値・結果表示の長さの単位
軸変形考慮する / 考慮しない部材の軸伸縮を無視するかどうか(下記参照)

単位系の考え方

重要: 単位設定は「入力値をどの単位として解釈するか」の宣言であり、 既存の入力値は換算されません。このため、データ入力済みの状態で単位を変更すると 「入力データがリセットされます」という確認の上、新しい単位系の初期モデルに置き換わります。 単位系は入力を始める前に決めてください。

軸変形を考慮しない設定

「軸変形: 考慮しない」を選ぶと、部材の軸伸縮を無視して解析します(柱の軸縮みを無視する 手計算(固定法・D値法など)との比較検証に便利です)。内部的にはペナルティ法により 軸剛性を実質無限大として扱います。詳細は計算方法の解説を参照してください。

注意: 軸変形の設定を変更しても自動では再解析されません。 設定変更後は必ず「▶ 解析実行」を押し直してください。

9. 解析理論(概要)

本ツールは 直接剛性法(Direct Stiffness Method)による線形弾性解析を行います。 計算の流れは次のとおりです。

  1. 部材ごとにローカル剛性マトリクス(6×6)を作成(ピン接合端は静的縮約で処理)
  2. 座標変換してグローバル座標系の全体剛性マトリクス K に重ね合わせ
  3. 節点荷重と、部材荷重から変換した等価節点力で荷重ベクトル F を作成
  4. 支点条件・強制変位を分配法(Kff·Uf = Ff − Kfc·Uc)で処理
  5. 部分ピボット付きガウス消去法で節点変位を求解
  6. 反力・部材端部力・断面力図を算定
▶ 詳細は 「計算方法の解説」ページ を参照してください。
剛性マトリクスの成分、等価節点力の公式、ピン端補正、強制変位の分配法、 軸変形を無視するペナルティ法、理論解との検証例などを詳しく解説しています。

10. 符号規約

グローバル座標系: Y↑ │ └──────→ X Z(面外): 紙面から手前向き正(右手系) θ: 反時計まわり(CCW)正 部材ローカル座標: Y_local ↑ │ i端 ──────────┼────────── j端 X_local → X_local: i端→j端方向 Y_local: X_localを反時計90°回転した方向 断面力の正方向: N(軸力) : 引張正 Q(せん断力) : i端右断面 → 下向き正 M(曲げモーメント): CCW正

11. 使用上の注意と制限

  1. 線形弾性解析のみ対応 — 塑性変形・幾何学的非線形・座屈は対応外です。
  2. 単位系は統一してください — mm・N・N/mm² の統一を推奨。混在すると誤った結果になります。
  3. 最低限の拘束が必要 — ΣFx、ΣFy、ΣM をすべて拘束する支点配置が必要です。
  4. トラス解析 — 全部材を両端ピン(□□)に設定し節点荷重のみ使用すれば純トラスとして解析できます。
  5. 自重は自動計算されません — 部材荷重または節点荷重に手動換算して入力してください。
  6. 数値精度 — 剛性比(EA/EI)が極端に異なる部材が混在する場合、数値不安定になることがあります。
  7. 部材荷重の符号(下向き荷重) — Y軸上向き正の座標系です。重力方向(下向き)の荷重は p1 に負値(例: p1 = −5)を入力してください。
  8. 強制変位の有効化 — 支点沈下など強制変位を与えるには、対象DOF(dx/dy/rz)を拘束(☑)した上で規定値を入力してください。拘束フラグが □ のまま値を入力しても解析に反映されません。

12. 入力例

例1: 片持ち梁(自由端集中荷重 10kN)
節点 N1x=0, y=0, dx=☑, dy=☑, rz=☑(固定端)
節点 N2x=3000, y=0, dx=□, dy=□, rz=□(自由端)
材料 M1E=205000 [N/mm²]
断面 S1A=6353, I=47200000(H-200×200相当)
部材 B1N1→N2, M1, S1, 両端剛接
節点荷重N2: Py = −10000 [N](下向き)
固定端モーメント(理論値): M = P × L = 10,000 × 3,000 = 30,000,000 N·mm
例2: 単純梁(下向き等分布荷重 w = 1.0 N/mm)
節点 N1x=0, y=0, dx=☑, dy=☑(ピン支点)
節点 N2x=6000, y=0, dy=☑(ローラー支点)
部材 B1N1→N2, 両端剛接
部材荷重部材=B1, 型=3, 方向=1, p1=−1.0, p2=−1.0, p3=0, p4=0
中央最大モーメント(理論値): M = w × L² / 8 = 1.0 × 6,000² / 8 = 4,500,000 N·mm
※ Y軸上向き正のため、下向き荷重は p1 に負値を入力します。
例3: 門型ラーメン(デフォルトモデル)

ページ読み込み時に表示されるデフォルトモデルは、両端固定支点・柱2本・梁1本の基本的な門型ラーメンです。左上節点に水平集中荷重 10N が作用しています。

例4: 支点沈下(ローラー支点が 5mm 沈下)
節点 N1x=0, y=0, dx=☑, dy=☑(ピン支点)
節点 N2x=6000, y=0, dy=(ローラー支点)
強制変位節点=N2, δy=−5 [mm](下向き沈下)
N2 の dy を ☑(拘束)にした上で、強制変位タブで δy = −5 と入力します。
拘束フラグが □ のままでは強制変位は解析に反映されません。
例5: サンプルモデル(ポータルフレーム)

ツールバーの「サンプルを選択…」から 1層1スパン〜3層3スパン のポータルフレームを即座に読み込めます。各水平部材には下向き台形荷重(型5, p1=−5 N/mm, p2=1500 mm)が設定されています。


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