1. 概要
STR-LAB 2D骨組み解析ツールは、平面骨組み構造(ラーメン・トラス・連続梁など)を ブラウザ上で入力・解析・可視化できる構造設計支援ツールです。 サーバーへの通信は不要で、すべての計算がブラウザ内で完結します。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 解析手法 | 2D直接剛性法(線形弾性解析) |
| 接合条件 | 剛接合・ピン接合の混在対応 |
| 荷重種別 | 節点荷重 / 5種類の部材荷重型 × 4方向 / 強制変位 |
| 出力図 | 構造モデル図・変形図・N図・Q図・M図(梁中央値表示) |
| サンプル | 1〜5層・1〜3スパンのプリセットモデルを選択して即解析 |
| 解析設定 | 単位系(N/kN・mm/cm)の選択、軸変形の考慮/無視の切替(⚙設定) |
| データ保存 | localStorage 自動保存 + JSON エクスポート/インポート |
| 動作環境 | Chrome・Firefox・Edge・Safari 最新版 |
2. 画面構成
┌──────────────────────────────────────────────────────────────┐ │ ヘッダー(STR-LAB 2D骨組解析ツール) [📖使い方][∑計算方法] │ ├──────────────────────────────────────────────────────────────┤ │ サイトナビ(免震シミュレータ / ハイパー鋼材表 / 骨組解析) │ ├──────────────────────────────────────────────────────────────┤ │ [解析実行][リセット] ステータス [サンプル▼][読込][保存][⚙設定]│ ├──────────────────┬───────────────────────────────────────────┤ │ │ 描画パネル │ │ 入力パネル │ [構造モデル] [変形図*] [断面力図*] │ │ (左列) │ ┌─────────────────────────────────────┐ │ │ [節点] │ │ │ │ │ [材料] │ │ Canvas 描画エリア │ │ │ [断面] │ │ │ │ │ [部材] │ └─────────────────────────────────────┘ │ │ ───────── ├───────────────────────────────────────────┤ │ [節点荷重] │ 解析結果パネル [文字サイズ: 小 中 大] │ │ [部材荷重] │ (節点変位 / 反力 / 部材端部力) │ │ [強制変位] │ │ └──────────────────┴───────────────────────────────────────────┘ * 解析未実行時はグレーアウト
3. 操作の流れ
解析実行ボタンは完了時に一瞬「✓ 解析完了」(緑)に変わり、ツールバーにステータスが表示されます。
サンプルモデル
ツールバーの「サンプルを選択」ドロップダウンからプリセットモデルを即座に読み込めます。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 1層1スパン | 柱2本・梁1本の基本門型ラーメン |
| 2層1スパン | 2層・1スパンの多層ラーメン |
| 5層1スパン | 5層・1スパンの多層ラーメン |
| 2層2スパン | 2層・2スパンのラーメン |
| 3層3スパン | 3層・3スパンの大型ラーメン |
4. 入力データの説明
4.1 節点
節点の座標と境界条件(支点条件)を定義します。
| 列 | 内容 |
|---|---|
ID | 節点を識別する名前(例: N1, N2 …) |
x | X座標(mm推奨) |
y | Y座標(mm推奨)。上方向が正 |
dx | ☑ でX方向を拘束 |
dy | ☑ でY方向を拘束 |
rz | ☑ でZ軸まわり回転を拘束 |
支点の種類と設定
| 支点種別 | dx | dy | rz |
|---|---|---|---|
| ピン支点 | ☑ | ☑ | |
| ローラー支点(Y固定) | ☑ | ||
| ローラー支点(X固定) | ☑ | ||
| 固定端 | ☑ | ☑ | ☑ |
| 自由端 |
4.2 材料
| 列 | 内容 |
|---|---|
ID | 材料を識別する名前(例: M1) |
E | ヤング率 [N/mm²] |
代表的なヤング率
| 材料 | E [N/mm²] |
|---|---|
| 構造用鋼 | 205,000 |
| アルミ合金 | 70,000 |
| コンクリート(Fc21) | 約 21,000 |
| 木材(スギ等) | 7,000〜9,000 |
4.3 断面
| 列 | 内容 |
|---|---|
ID | 断面を識別する名前(例: S1) |
A | 断面積 [mm²] |
I | 断面2次モーメント [mm⁴](曲げ剛性 EI に使用) |
4.4 部材
| 列 | 内容 |
|---|---|
ID | 部材を識別する名前(例: B1) |
i節点 | 部材の始端(i端)節点ID |
j節点 | 部材の終端(j端)節点ID |
材料 | 使用する材料ID |
断面 | 使用する断面ID |
i端 | ☑ = 剛接合 / □ = ピン接合(回転自由) |
j端 | ☑ = 剛接合 / □ = ピン接合(回転自由) |
接合条件の使い分け
| i端 | j端 | 用途 |
|---|---|---|
| ☑ 剛接 | ☑ 剛接 | ラーメン構造の標準。モーメントが伝達される |
| ☑ 剛接 | □ ピン | 梁端ピン接合(j端でモーメントゼロ) |
| □ ピン | ☑ 剛接 | 梁端ピン接合(i端でモーメントゼロ) |
| □ ピン | □ ピン | トラス部材(軸力のみ、モーメントはゼロ) |
4.5 節点荷重
| 列 | 内容 |
|---|---|
節点 | 荷重を作用させる節点ID |
Px | X方向集中力 [N](右向き正) |
Py | Y方向集中力 [N](上向き正) |
Mz | 集中モーメント [N·mm](反時計まわり正) |
4.6 部材荷重
部材に沿って分布する荷重を定義します。
部材荷重タブを開くと、全5型の図とパラメータ説明が一覧表示されます。各画像をクリックすると拡大表示できます。
荷重方向
| 方向 | 説明 |
|---|---|
| 1 ローカルY | 部材軸に直角な方向(通常の横荷重) |
| 2 ローカルX | 部材軸に平行な方向(軸方向分布荷重) |
| 3 グローバルY | 鉛直方向(重力・積雪荷重など) |
| 4 グローバルX | 水平方向(風圧荷重など) |
方向1はローカル座標(部材軸に直角)なので、傾いた部材では重力方向と一致しません。
下向き(重力方向)荷重は p1 に負の値を入力してください(Y上向き正の座標系のため)。
荷重型の形状とパラメータ
p1 | 荷重 P [N] |
p2 | i端からの距離 a [mm] |
p3, p4 | 使用しない |
部材上の任意点への集中荷重(節点荷重と異なり部材内の点に作用)
p1 | 頂部 w [N/mm] |
p2 | 頂点位置 a [mm](0=中央、型4と同形) |
p3, p4 | 使用しない |
i端・j端ともゼロ、a位置でwの三角形分布。p2=0で中央ピーク(型4と同形)
p1 | i端 w [N/mm] |
p2 | j端 w [N/mm] |
p3 | i端オフセット p3 [mm] |
p4 | j端オフセット p4 [mm] |
p1=p2 とすれば等分布荷重。p3=p4=0 で全長に作用
p1 | 頂部強度 w [N/mm] |
p2〜p4 | 使用しない |
中央で最大、両端で0の二等辺三角形分布。型2でp2=0(中央)とした場合と同形
p1 | 頂部強度 w [N/mm] |
p2 | 両端ランプ長 [mm] |
p3, p4 | 使用しない |
中央部は一定 w、両端で p2 の長さをかけて直線的に0へ
4.7 強制変位
拘束された自由度に強制的に変位を与えます。支点沈下・強制回転などに使用します。
| 列 | 内容 |
|---|---|
節点 | 強制変位を与える節点ID |
δx | X方向強制変位 [mm] |
δy | Y方向強制変位 [mm](沈下は負の値) |
θz | Z軸まわり強制回転 [rad] |
例: 支点沈下 δy=−2mm → 対象節点の dy=☑ かつ強制変位 δy=−2 を入力。
例: 強制回転 θz=0.2rad → 対象節点の rz=☑ かつ強制変位 θz=0.2 を入力。
自由節点(拘束なし)に指定した値は無視されます。
Kff · Uf = Ff − Kfc · Uc を解くため、指定値が変位・反力・断面力に正確に反映されます。
5. 描画パネル
構造モデル図
| 表示要素 | 色・形状 |
|---|---|
| 節点 | 青丸(中央に番号) |
| 部材 | 黒線(中央に部材ID) |
| ピン接合 | 部材端部に白丸記号 |
| 固定端支点 | 黒のハッチングブロック |
| ピン支点 | 三角形(赤) |
| ローラー支点 | 三角形(緑) |
| 節点荷重 | 青矢印 |
| 部材荷重 | 複数の青矢印+破線エンベロープ |
| 反力(解析後) | 赤矢印 |
| 座標軸 | 左下隅にX・Y方向を表示 |
| 寸法線 | モデルの水平・垂直寸法を画面端に薄く表示 |
変形図
解析後の変形した形状を表示します。元形状は薄く表示されます。変形は Bezier 曲線で補間(Euler-Bernoulli 梁理論)。
| 表示内容 | 説明 |
|---|---|
| 左上ラベル | 節点変位 max=○○ [mm](全節点のうち最大の変位大きさ) |
| 最大変位マーカー | 最大変位の節点(複数対応)にオレンジリングと変位値を表示 |
| 梁中央変位 | 傾斜角45°以下の部材の Bezier 中点変位を δ=○○ として図中に表示 |
| 左下ラベル | 変形倍率 ×n。拡大・縮小ボタンで2倍・1/2倍変更可 |
断面力図
M図・Q図・N図を切り替えて表示します。正負で色分けされます。
| 表示内容 | 説明 |
|---|---|
| 端部ラベル | i端・j端の断面力値を数値表示 |
| 梁中央Mラベル | M図のみ:傾斜角45°以下の部材の中央モーメント値を図中に数値表示 |
| 左上ラベル | M図 max=○○ [N·mm] / Q図 max=○○ [N] / N図 max=○○ [N] |
6. 解析結果の見方
解析実行後、右下の結果パネルに表示されます。ヘッダー右端の 「文字サイズ:小 中 大」 ボタンで文字サイズを変更できます(設定はブラウザに保存されます)。
節点変位
| 列 | 内容 |
|---|---|
| 節点 | 節点ID |
| δx [mm] | X方向変位 |
| δy [mm] | Y方向変位 |
| θz [rad] | Z軸まわり回転角 |
反力
| 列 | 内容 |
|---|---|
| 節点 | 支点節点ID |
| Rx [N] | X方向反力(右向き正) |
| Ry [N] | Y方向反力(上向き正) |
| Rm [N·mm] | モーメント反力(CCW正) |
部材端部力
| 列 | 内容 |
|---|---|
| 部材 | 部材ID |
| 端 | i端(始端)または j端(終端) |
| N [N] | 軸力(引張正) |
| Q [N] | せん断力 |
| M [N·mm] | 曲げモーメント(CCW正) |
7. データ保存と読み込み
| 機能 | 説明 |
|---|---|
| 自動保存 | 変更のたびに localStorage へ保存。ページを閉じても復元される |
| 入力データ保存 | モデルデータを strlab_model.json としてダウンロード(ツールバー右端) |
| 入力データ読込 | 以前保存したJSONファイルを読み込んで復元、自動的に再解析(ツールバー右端) |
| リセット | デフォルトの門型ラーメンモデルに戻す(確認ダイアログあり) |
8. 解析設定(単位系・軸変形)
ツールバー右端の 「⚙ 設定」 ボタンで解析設定ダイアログを開きます。 現在の設定はボタン左側に「単位: N・mm / 軸変形: 考慮する」のように常時表示されます (この表示をクリックしてもダイアログが開きます)。
| 設定項目 | 選択肢 | 説明 |
|---|---|---|
| 力の単位 | N / kN | 入力値・結果表示の力の単位 |
| 長さの単位 | mm / cm | 入力値・結果表示の長さの単位 |
| 軸変形 | 考慮する / 考慮しない | 部材の軸伸縮を無視するかどうか(下記参照) |
単位系の考え方
- 入力欄のヘッダー(E [N/mm²] など)と結果表の単位表記は、設定に応じて自動で切り替わります。
- サンプルモデルの読み込み時は単位が N・mm に戻ります(サンプルは N・mm 系で定義されているため)。軸変形の設定は維持されます。
- 単位設定はモデルデータの一部として localStorage・エクスポートJSONに保存されます。
軸変形を考慮しない設定
「軸変形: 考慮しない」を選ぶと、部材の軸伸縮を無視して解析します(柱の軸縮みを無視する 手計算(固定法・D値法など)との比較検証に便利です)。内部的にはペナルティ法により 軸剛性を実質無限大として扱います。詳細は計算方法の解説を参照してください。
9. 解析理論(概要)
本ツールは 直接剛性法(Direct Stiffness Method)による線形弾性解析を行います。 計算の流れは次のとおりです。
- 部材ごとにローカル剛性マトリクス(6×6)を作成(ピン接合端は静的縮約で処理)
- 座標変換してグローバル座標系の全体剛性マトリクス K に重ね合わせ
- 節点荷重と、部材荷重から変換した等価節点力で荷重ベクトル F を作成
- 支点条件・強制変位を分配法(Kff·Uf = Ff − Kfc·Uc)で処理
- 部分ピボット付きガウス消去法で節点変位を求解
- 反力・部材端部力・断面力図を算定
剛性マトリクスの成分、等価節点力の公式、ピン端補正、強制変位の分配法、 軸変形を無視するペナルティ法、理論解との検証例などを詳しく解説しています。
10. 符号規約
11. 使用上の注意と制限
- 線形弾性解析のみ対応 — 塑性変形・幾何学的非線形・座屈は対応外です。
- 単位系は統一してください — mm・N・N/mm² の統一を推奨。混在すると誤った結果になります。
- 最低限の拘束が必要 — ΣFx、ΣFy、ΣM をすべて拘束する支点配置が必要です。
- トラス解析 — 全部材を両端ピン(□□)に設定し節点荷重のみ使用すれば純トラスとして解析できます。
- 自重は自動計算されません — 部材荷重または節点荷重に手動換算して入力してください。
- 数値精度 — 剛性比(EA/EI)が極端に異なる部材が混在する場合、数値不安定になることがあります。
- 部材荷重の符号(下向き荷重) — Y軸上向き正の座標系です。重力方向(下向き)の荷重は p1 に負値(例: p1 = −5)を入力してください。
- 強制変位の有効化 — 支点沈下など強制変位を与えるには、対象DOF(dx/dy/rz)を拘束(☑)した上で規定値を入力してください。拘束フラグが □ のまま値を入力しても解析に反映されません。
12. 入力例
| 節点 N1 | x=0, y=0, dx=☑, dy=☑, rz=☑(固定端) |
| 節点 N2 | x=3000, y=0, dx=□, dy=□, rz=□(自由端) |
| 材料 M1 | E=205000 [N/mm²] |
| 断面 S1 | A=6353, I=47200000(H-200×200相当) |
| 部材 B1 | N1→N2, M1, S1, 両端剛接 |
| 節点荷重 | N2: Py = −10000 [N](下向き) |
| 節点 N1 | x=0, y=0, dx=☑, dy=☑(ピン支点) |
| 節点 N2 | x=6000, y=0, dy=☑(ローラー支点) |
| 部材 B1 | N1→N2, 両端剛接 |
| 部材荷重 | 部材=B1, 型=3, 方向=1, p1=−1.0, p2=−1.0, p3=0, p4=0 |
※ Y軸上向き正のため、下向き荷重は p1 に負値を入力します。
ページ読み込み時に表示されるデフォルトモデルは、両端固定支点・柱2本・梁1本の基本的な門型ラーメンです。左上節点に水平集中荷重 10N が作用しています。
| 節点 N1 | x=0, y=0, dx=☑, dy=☑(ピン支点) |
| 節点 N2 | x=6000, y=0, dy=☑(ローラー支点) |
| 強制変位 | 節点=N2, δy=−5 [mm](下向き沈下) |
拘束フラグが □ のままでは強制変位は解析に反映されません。
ツールバーの「サンプルを選択…」から 1層1スパン〜3層3スパン のポータルフレームを即座に読み込めます。各水平部材には下向き台形荷重(型5, p1=−5 N/mm, p2=1500 mm)が設定されています。
関連ページ: STR-LAB 骨組解析ツール | 計算方法の解説 | ハイパー鋼材表 | 免震シミュレータ